任意売却のご相談の際に、相談者の方から「自分の子供(または親)に自宅を売却して、このまま住み続けることはできないか?」とご質問を受けることがあります。
これは親子間売買(親族間売買)と呼ばれる手法なのですが、結論から申し上げると、できなくはありませんが、かなりハードルが高いと言わざるを得ません。
買い手側が現金で一括購入するのであればハードルはそんなに高くないのですが、通常は住宅ローンを組む必要があると思います。しかし、ここでボトルネックになるのが、銀行や地銀等の一般的な金融機関では、親子間売買(親族間売買)だと住宅ローンの審査がほとんど通らないということです。
では、どうすればよいのか。その方法の一つが、「ノンバンク」と呼ばれる銀行以外の金融機関に融資をお願いすることです。実際に当NPO法人にご相談に来られた方がノンバンクで融資を受け、親子間売買を成功させた事例がありますが、ここで注意したい点が2つあります。
その1つ目はノンバンクで借りると、一般的な住宅ローンよりも金利が高いということです。ある金融機関では4%前後という金利が設定されています。
もう1つの注意点がノンバンクではフルローン(またはオーバーローン)を組めない可能性が高いということです。物件価格の3割前後を自己資金として用意、または他の不動産を共同担保に入れることを金融機関からお願いされることもあります。
上記ハードルをクリアしてでも愛着のある家に住み続けたいというご意向は痛いほどよくわかります。しかし、買い手側のご意向を聞かず、強引に進めようとするお話も耳にします。例えば、父親が現所有者で同居の息子(独身)に自宅を購入してほしいというケースで、息子の立場からすると自分の生まれた家で親に育ててもらった身だから断りづらいという内心もあるかもしれません。ですが、高金利で長期のローンを組むのは息子さんであり、将来、結婚や転勤等でライフスタイルが変わった場合に負担になるという可能性もあります。親子間売買(親族間売買)を検討される場合は、メリット・デメリットを考慮し、よくご家族で話し合いをされるのをお勧めします。
任意売却した後にご自宅に賃貸で住み続けるという方法(「リースバック」という)もあります。次回はリースバックについてお話したいと思います。