以前の記事(https://oyakoko.net/archives/349)では親子間売買(親族間売買)についてお話させて頂きましたが、任意売却のご相談の際に話題に出ることの多い「リースバック」について今回はお話したいと思います。
「リースバック」とは、ご自宅を売却した後にそのまま賃貸で住み続けるという方法です。不動産買取業者等がリースバックのサービスを提供しています。
リースバックにより、ご自宅の所有権は第三者に移ってしまいますが、それでも住み慣れた我が家に住み続けることができるというのは、相談者にとって精神的な負担が少なくて済むというメリットがあります。特に小中学生のお子様がいる場合は、引越により学区が変わってしまい、転校せざるを得ないという悩みが大きいと思います。
また、リースバックで売却したご自宅は、契約内容によっては将来買い戻すことも可能なため、一旦生活を立て直し、将来的にご自宅を取り戻す方法が残されていることも相談者にとっては安心感があると思います。
しかし、メリットが大きいように思えるリースバックですが、当然、リースバック業者は慈善事業を行っているわけではないため、リースバック時の家賃は周辺相場よりも割高に設定されていることが多く、また、ご自宅売却時は市場価格より安く、買戻し時には売却価格よりも高くすることで、リースバック業者が長期保有する際のリスクヘッジを図りつつ、同時に収益を上げられる仕組みになっております。
リースバック業者への売却価格が市場価格よりも安いということで、債権者(抵当権者)から売却(抵当権抹消)の同意が得られない、という可能性も考えられます。
もし無事に売却できたとしても、債務整理をすると個人信用情報機関に事故情報が登録されるため、一定期間、一般的な住宅ローンを利用できない可能性が高く、ご自宅を買い戻す際には自己資金等で対応する必要があります。買戻し前提のリースバックをご検討されている方は注意が必要です。
また、通常、リースバック時には2~3年間の「定期借家契約」といったように、賃貸期間に制限があることが多く、賃貸契約満了時に再契約を断られるというケースもあります。その際に買い戻すだけの資金力があれば良いのですが、なかなか現実的には難しく、結局、他の賃貸物件に引っ越しせざるを得ず、結果的にリースバックではなく、市場価格で一般の方に売却していた方が返済額も増えて良かったのに、と後悔する方もいらっしゃいます。
リースバックをご検討されている方は、リースバック業者1社の説明だけを鵜吞みにせず、複数社のサービス内容や口コミを比較したり、信頼できる第三者に相談し、リースバックのメリット・デメリットをよく理解した上で、ご自身に合った方法を選択されるのをお勧めいたします。当NPO法人でもご相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。